不動産相続をしたらどうする?行政手続から土地売却まで【簡単解説】
まずは自分の相続した不動産の分類をする
不動産を整理する前に、どのような資産を持っているのかを正確に把握しておかなくてはなりません。まずは、自分の資産を客観的に分類してみましょう。
用途別なら、自分で住んでいる自宅、駐車場や貸宅地として他人に貸している土地、あるいは一戸建てやアパートなどを定期借家権で他人に貸している建物付きの土地、といった感じで分類することができます。
利用形態、収益率、相続したのか購入したのか、という点で分類してみれば、客観的に不動産を把握し直すことができます。また、測量してあるかどうかも確認しましょう。
境界を確定する測量には、隣接する土地所有者に協力を依頼するなど長い時間がかかりますので、あらかじめ相続前に実施しておくことをお勧めします。なお、不動産収入のある地主さんの場合、測量費用は経費にできる場合もあります。
相続した不動産の行政手続について
遺言、名義替え、土地の売却を行う
相続で、どの土地を誰に分けるか、事前に決めておきましょう。決まった内容を、遺言書にしておけば、トラブルの予防に効果的です。また、共有名義となっている不動産があれば、事前に一人の名義にしておくと都合が良いでしょう。
例えば、一つの不動産を3人の相続人で、公平に3分の1ずつの持ち分にしたとしても、災害などで建て替えが必要になったり、共有者の一人が死亡したときなどで争いになるかも知れません。
税金対策だけでなく、不測の事態で起こりうるトラブルの防止について考えておくことも相続対策で重要なポイントです。ちなみに、土地を複数保有していて、いくつかを処分しなくてはならないときには、基本的に、収益の少ない土地から処分します。
収益率の高いものから売った方が、処分しやすいと考えられますが、稼ぎになる不動産ほど手元に残したいと思うのが人の心情なので、実際の地主さんのほとんどは、収益の少ない土地から売却していくのです。
親の家の名義変更する手続き
土地や建物を売却するにも、名義を変更しないと所有権を買い手に移すことができません。その前提として、誰が土地建物を相続したのか、相続人(遺産を相続する人たち、基本的に故人の配偶者と子ども)の聞の合意を記した文書が必要です。
これを遺産分割協議書といい、合意形成のための話し合いを遺産分割協議といいます。その遺産分割協議がまとまったら、「所有権移転登記」をすることになります。
所有権移転登記の申請窓口は、不動産所在地の法務局。登記申請書や遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書などを提出する必要があります。「固定資産税評価証明書」の添付も求められますが、入手先は市区町村役所になります。
所有権移転登記をするためには、登録免許税(固定資産税評価額×0・4%)がかかります。司法書士に依頼するケースも多いようですが、その場合は、司法書士に対する報酬も必要になります。
相続税がかかる財産の分類と評価の方法
相続税の対象となる財産は、相続や遺贈によって受け取った「金銭で評価することが可能な財産」です。
以下は相続や遺贈により取得したものとして、課税の対象となります。
【土地(借地権も含む)】
回、畑、宅地、山林、その他の土地、借地権、耕作権など。
宅地の評価方法
- 市街地は「路線価格方式」 路線価×面積
- 郊外は「倍率方式」 固定資産税評価額×倍率
アパートなどの敷地の評価方法
- 「貸家建付地」として評価 更地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)。
※なお、貸宅地などの敷地の場合、借地権を控除して評価す
る。品更地価額× (1l借地権割合)
【家屋】
- 自用 固定資産税評価額×1.0倍
- 貸家 固定資産税評価額×0.7倍
アパートの場合、さらに入居率によっても評価額が変動する。
相続税の納付から土地売却まで
相続税の納付期限
相続税の申告期限と納付期限は、ともに通常、被相続人の死亡した日の翌日から10か月以内です。厳密には、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内となっています。
期限までに納められなかった場合は、利息にあたる延滞税がかかります。
相続税の納付は、現金による一括納付が原則ですが、それが不可能な場合は、特例として現金を分割して納める延納と、現物物件を納める物納が認められています。しかし、いずれも手続きが大変なので、やはり不動産を売却してでも期限内の現金納付が良いでしょう。
故人の財産や借金を調査する
現金納付をするために、手持ちの納税資金が無ければ、土地を売却して資金を作ることになると思います。納付期限がありますから、急がなくてはなりません。
四十九日の法要が終わったら、相続する財産や債務に関する資料を収集します。また、相続人を確定するために、被相続人の戸籍謄本や抄本なども揃えなくてはなりません。そして、集めた資料から課税される相続税の概算を行ないます。納税資金を確保するには、どれだけの土地を売却すれば良いのか、おおよその見当をつけるのです。
不動産の遺産分割協議と土地の売却を進める
次に遺産分割協議を行います。協議で大まかな分割が決まれば、相続税額に見合うだけの売却候補地を選びます。候補地の測量を行い、必要なら分筆(登記簿上で一筆になっていた土地を、いくつかの土地に分割して登記し直すこと)をします。同時に不動産業者に客付け(購入者の斡旋)を依頼することを忘れないでください。
また、分割協議がまとまったら、「分割協議書」を作成し、各相続人の相続税額を算出した後、誰の名義で土地を売却するのがよいか、決定します。
売却手続きを行う一方で、相続登記を司法書士に依頼します。そして、相続開始から9カ月目までに引き渡しを終えれば、売却手続きは完了です。この時期までに引き渡しが完了すれば、借入金や延納の手続きをすることなく余裕を持って納税ができます。
参考記事
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1社のみに査定を依頼して売却を進めることがありますが、不動産会社によって査定額はまちまち。300万円~500万円、それ以上違うことも普通。複数社の査定を行うことは必須です。